【問題提起】
物が引渡前(履行期前)に滅失した場合、特定物債権であれば債務者の調達義務はなくなりますが、種類債権であればその義務は原則としてなくなりません。
なぜ、このような違いがあるのでしょうか?
【なぜか?】
特定物債権の場合、所有権は契約時に債権者へ移転します。物はすでに債権者所有となっているため、債務者による物の調達はなされたと考え、その義務はなくなります(ただし債務不履行や危険負担の問題は残ります)。
それに対し種類債権の場合、特定するまでは所有権は移転しないので、調達義務は残ります。
またこの場合、滅失した物と同種の物が市場に存在する限り、調達(債務の履行)は可能なので、履行不能ともなりません。 【ちなみに】
制限種類債権の場合は特定前でも履行不能を生じますが、行政書士試験で出題されることはないかと思います。 |