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◎ 掲載項目一覧 |
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胎児の権利能力 |
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成年擬制 |
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未成年者の行為能力1 |
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未成年者の行為能力2 |
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成年後見人の同意権 |
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制限能力者の保護者に対する催告 |
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寄付財産の帰属時期(財団法人) |
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権利能力なき社団の不動産登記 |
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意思表示の効力発生時期 |
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心裡留保の効力 |
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通謀虚偽表示の第三者保護 |
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錯誤無効の主張権者 |
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第三者の詐欺 |
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制限能力者たる代理人の代理行為 |
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復代理人の選任 |
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自己契約と双方代理の禁止 |
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代理権の消滅 |
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表見代理の法定代理への適用 |
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無権代理の相手方の催告 |
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無権代理と相続 |
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無権代理と法定追認 |
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【問題提起】
人の権利能力(権利や義務の主体となりうる地位や資格)は出生のときから発生するとされているので、原則として胎児には権利能力はありませんが、例外として不法行為に基づく損害賠償請求は認められています(721条)。
例えば父親が車にひかれて死亡した場合、胎児には加害者に対する損害賠償請求権が発生します。
なぜ、例外を設けてこれを胎児にも認めているのでしょうか?
【なぜか?】
胎児はもう少しで生まれてくるので、その少しの時間の差で損害賠償を認めないとすると、被害者保護の観点から不平等だからです。
ただし、胎児が請求権を行使するには生きて生まれることが条件となります(停止条件説)。
【ちなみに】
民法上の出生とは「胎児の体が母体から全部露出したとき」と解されています(全部露出説)。 |
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【問題提起】
未成年者とは20歳以上の者をいいますが、その未成年者が婚姻をすると民法上では成年に達した者とみなされます(753条)。
なぜ、このような規定があるのでしょうか?
【なぜか?】
このようにしないと、婚姻した未成年者が生活していく上で不都合だからです。
もしこれを認めないとなると普通の未成年者と同じなので、何をするにもいちいち親の同意をもらわなくてはなりません。
例えば旦那さんが仕事に就こうと思った場合や家族で住む家を借りる契約をする場合などにも、いちいち親の同意をもらわなくてはなりません。
これでは結婚生活をしていく上で不都合なので、未成年者でも婚姻をすると民法上では成年者とみなすことになっています。 |
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【問題提起】
行為能力(確定的に法律行為を有効に行いうる能力)が広く制限されている未成年者でも「単に権利を得、または義務を免れる行為」は単独で有効に行えます(4条1項但書)。そのため、債務の免除(ex.借金免除)を受けることは未成年者でも単独で有効に行えます。
それに対し、債務の弁済(ex.借金返済)を受けることは「単に権利を得、または義務を免れる行為」には当てはまらず、取消しうる行為となります。
なぜ、債務の弁済はそのように扱うのでしょうか?
【なぜか?】
相手方に対する債権を失うことになるからです。
債務の弁済を受けると、その後は相手方に弁済の請求ができないことになります(債権喪失)。
また、相手方に利息付でお金を貸している場合、弁済を受けることにより利息が取れなくなってしまいます。
そのような性質を持つ債務の弁済は「単に権利を得、または義務を免れる行為」には当てはまらないことになります。
【ちなみに】
未成年者が使用貸借(無料で物の貸し借りをすること)の借主になることも「単に権利を得、または義務を免れる行為」には当てはまらず、取消しうる行為となります。
無料で物を借りるのであれば良いような気もしますが、借りることによって善管注意義務(最高レベルの注意義務)や物の返還義務が発生するため、取消しうる行為となります。 |
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【問題提起】
未成年者でも保護者に許可された営業に関する行為は単独で有効に行えます(6条1項)。
ただし、保護者は営業の種類を特定しないで許可することはできず、一種または数種の営業に限定して許可しなければなりません。例えば、「営業に関することなら何でもやっていいよ」という許可はできず、「肉を売る仕事はやっていいよ」という許可はできます。
なぜ、そのように限定して許可しなければならないのでしょうか?
【なぜか?】
未成年者は成年者に比べると利益バランスの判断が未熟なため、営業の全部を許可してしまうと下手な取引をして損害を被るおそれがあるからです。
そのような損害を未然に防止するために、一種または数種の営業に限定して許可をあたえなければならないとされています。
【ちなみに】
一種の営業のうちの一部についてだけ許可することは、相手方保護の観点からできないとされています。
例えばお肉屋さんを営んでいるお父さんが息子(未成年者)に「鶏肉は売っていいけど牛肉はダメ」といった許可の仕方はできません。もしこのような許可を認めるとなると、息子から牛肉を買ったお客さんはあとでこの取引を取消されてしまうおそれが出てきます。
これではお客さんも迷惑なので、このような許可の仕方はできないとされています。 |
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【問題提起】
成年後見人は保護する成年被後見人に対する同意権がありません(同意を与えることができない)。
なぜでしょうか?
【なぜか?】
成年被後見人は事理弁識能力が欠如しているので、成年後見人が同意を与えてもそのとおり動くことが期待できないからです。
同意権は制限能力者本人の判断に対して同意を与える権利なので、本人にある程度の能力が備わっていることが前提となっています。 |
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【問題提起】
制限能力者と行為を行った相手方が、その行為について保護者に催告をしても確答がない場合、追認とみなします(19条1項)。
なぜ、そのようにみなすのでしょうか?
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【なぜか?】
保護者は制限能力者の面倒を見る義務があるので、その行為に関することについて対応する必要があるからです。
それをしないのであれば相手方の保護を優先させる趣旨です。
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【問題提起】
原則として設立された法人に財産が帰属する時期は、主務官庁による設立の許可があったときですが(34条)、財団法人設立者が遺言で寄付行為を行った場合、寄付財産の帰属時期は「遺言の効力が生じたとき」となっています(42条2項)。これは、財団法人設立者が死亡したときに、寄付財産が法人に帰属することになるということです。
なぜ、このような規定を置いているのでしょうか?
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【なぜか?】
相続人による相続財産の浪費を防止し、財団法人設立者の意思を保護するためです。
もし「設立の許可があったとき」としてしまったら、遺言の効力発生から許可があるまでの間、相続人による相続財産の浪費が可能になってしまいます。
そうなると、財団法人を設立できなくなってしまうかもしれませんし、設立できたとしても、悪い影響が出るおそれがあります。
これでは財団法人設立者の意思に反するので、「遺言の効力が生じたとき」に寄付財産が法人に帰属することにしています。 |
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【問題提起】
権利能力なき社団名義での不動産登記はできません(判例)。
なぜ、そのような判決が出たのでしょうか?
【なぜか?】
良からぬ目的を持っている者の脱法行為を防ぐためです。
権利能力なき社団は簡単に作れてしまいます(ex.町内会、同窓会、サークルなど)。そのため、安易に権利能力なき社団に不動産登記を認めてしまうと、個人の税金逃れ(財産隠し)など良からぬ目的を達成する手段として使えてしまいます。
そのような脱法行為を防ぐために、判例は権利能力なき社団名義での不動産登記は認めませんでした。
【ちなみに】
権利能力なき社団名義での不動産登記をすべて認めないとなると不便な面も多いということで、中間法人法(平成14年4月1日施行)により、一定の要件を満たせば、中間法人として不動産登記ができるようになりました。また、地縁による団体が市町村長の認可を受けたときも不動産登記はできます(地方自治法260条の2 1項)。
上記に当てはまらず不動産登記ができない場合は、代表者名義または構成員全員の名義で登記することになりますが、実際は代表者名義で登記することが多いようです。
これはなぜかというと、構成員全員の名義で登記をした場合、構成員が変わるたびに登記を変更する必要性が出てきます。これでは面倒ですし、登記手数料もその都度かかってしまいます。
そのため、代表者名義で登記した方が都合が良いのです。ただ、代表者が信頼できる人である必要はあります。 |
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【問題提起】
(郵便でのやり取りをイメージしてください)
意思表示の効力発生時期は原則として相手にその意思が到達したときですが(到達主義)、例外として以下の場合は意思を発信したときに効力が発生するとされています(発信主義)。
@制限能力者の相手方の催告に対する確答(19条)
A契約に対する承諾(526条)
B株主総会の招集通知(商法232条)
なぜ、このような例外をおいているのでしょうか?
【なぜか?】
@は制限能力者保護のためです。
例えば制限能力者の相手方が、その保護者に対し60日以内に確答を求めたとします。ここで保護者は60日以内に取消の発信をすれば、相手方への到達が60日を越えても取消とされます。もしこれに到達主義を採用すると、期限を過ぎた到達となるので、制限能力者の行為は取消せなくなってしまいます。
一般的に制限能力者の行為は取消の方向に持っていった方が保護になることが多いため、ここでは例外として発信主義を採用しています。
Aは契約の迅速性を重視する趣旨で、発信主義とされています。
Bは団体の利益を優先するためです。
例えば株主が何千人といるような場合、その中の1人に招集通知が到達していないから株主総会が開催されないとなると、多くの人にとって都合の悪い事態になってしまいます。
そのため、招集通知を発送さえすれば効力発生としました。 |
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【問題提起】
心裡留保の効果は原則有効ですが(93条本文)、相手方がその心裡留保について悪意または有過失であれば無効となります(93条但書)。
なぜでしょうか?
【なぜか?】
原則有効にしている理由は心裡留保による表示を信じた相手方の保護ですが、その相手方が悪意または有過失であれば保護する必要はありません。
もしこの場合まで有効にしてしまうと、例えば友達同士の一方が冗談で「家を買ってあげるよ」と言った場合、言った本人はそれを実現しなければいけないことになります。
通常、特別な関係でなければ家を買ってもらえることなどないので、その発言については相手方も心裡留保であることに気付いているはずであり、もしそれに気付かなければ過失があったと見て、無効となります。 |
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【問題提起】
通謀虚偽表示の第三者は、善意であれば重過失があっても保護されます(94条2項)。
例えば下図の例で、土地の所有者AがBとの通謀虚偽表示によりBに土地を仮装譲渡した後、BがCにその土地を譲渡した場合、CはAB間の仮装譲渡を知らなかったことについて重過失があっても、善意であれば土地の所有権を得ることができます。
なぜ、Cは重過失があっても保護されるのでしょうか?
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【なぜか?】
通謀虚偽表示を行っている当事者の方が帰責性が強いからです。
当事者と第三者の帰責について比較した場合、当事者は積極的に嘘をついているので保護する余地はまったくありませんが、第三者は重過失があっても善意という点で保護する余地はあります。
そのため、通謀虚偽表示の第三者は重過失があっても善意であれば保護されます。
ただし、上図のAがBに仮登記上の権利を仮装譲渡した後、BがCに本登記上の権利を譲渡した場合は、Cは善意無過失でなければ本登記上の権利は取得できません(仮登記上の権利のみの取得)。
これは、Aが表示した内容以上の権利が動いているので、C
の取得要件を厳しくする趣旨です。
なお、通謀虚偽表示が行われる例としては、上図のAが「借金を返済できないから土地が差押えられそうだ」というときに、その土地をBのものと装って差押を逃れようとする場合などです。
【ちなみに】
上図のBに占有や登記がある場合には、AはBに土地の返還請求ができます。これは、通謀虚偽表示は当事者間では無効であることから、所有権は元の所有者であるAにあると考えるからです。 |
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【問題提起】
本来、無効は誰でも主張できますが、錯誤による無効は原則として錯誤の表意者(+その包括承継人)のみが主張できることになっています(95条)。
なぜ、錯誤無効の主張権者が表意者(+その包括承継人)に限定されているのでしょうか?
【なぜか?】
錯誤があった行為について、表意者本人がそれで良いと思えば無効にする必要はないからです。
この規定は表意者保護が目的なので、第三者がとやかく言う問題ではありません。
【ちなみに】
表意者以外の第三者の利益を保護すべき場合で、一定の要件を満たせば、その第三者が無効主張できる場合もあります。 |
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【問題提起】
第三者に詐欺をされた場合、相手方が詐欺について善意であれば取消せませんが、悪意であれば取消せます(96条2項)。例えば下図のAがC の詐欺によりBに土地を売ってしまった場合、C
の詐欺についてBが善意であれば取消せませんが、悪意であれば取消せます。
なぜ、このような違いがあるのでしょうか?
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【なぜか?】
相手方が善意である場合、詐欺の事情を知らない相手方よりは騙された本人の方が悪いだろうと考え、本人に責任を負わせます。
上図の例では、Bが土地を取得できます。
それに対し相手方が悪意であれば、詐欺の事情を知っている相手方よりは騙された本人の方が帰責性が弱いと考え、本人を保護します。
上図の例では、Aは土地の売買契約を取消すことができます。
なお、このように相手方が悪意の場合、詐欺をした第三者と相手方は裏で通じていることが多いです。
上図の例では、「C
がAを騙して、Bが土地を得る」という目的でグルになっている場合です。 |
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【問題提起】
本来、制限能力者の行為は例外を除いて取消せますが、制限能力者が代理人として代理行為をした場合は取消せないと解されています。
なぜでしょうか?
【なぜか?】
代理行為の効果は代理人には帰属しないので(本人と相手方との間に帰属)、制限能力者たる代理人が不利益を被ることはありません。
そのため、制限能力者保護という観点も必要なく、取消はできないと解されています。
なお、この場合本人が不利益を被るおそれはありますが、これは制限能力者を代理人として立てた本人の責任となります。 |
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【問題提起】
「代理人が復代理人を選任できるか」という問題について、任意代理の場合は原則としてできませんが(104条)、法定代理の場合は自由にできます。
なぜ、このような違いがあるのでしょうか?
【なぜか?】
任意代理の場合、本人は代理人を信頼できる人だと思って代理を頼んでいるので、他の人に代理権が行ってしまっては本人の信頼を裏切ることになります。
そのため、原則として復代理はできません。ただし、本人が復代理を認めた場合や、やむを得ない場合は例外として認められます。
それに対し法定代理の場合は、法律の規定で当然に代理人となるので、好んで代理人になったとは限りません。
そのため、自由に復代理ができるとされています。 |
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【問題提起】
自己契約と双方代理の関係は以下の図のようになりますが、これは原則禁止とされています(108条)。
なぜでしょうか?
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【なぜか?】
1人の一存で契約内容が決まってしまうため、本人(契約の効果が帰属する人)が害されるおそれがあるからです。
例えば上図の場合、自己契約と双方代理両方ともBの気分次第で契約内容が決まってしまい、当事者の一方にとって不利な契約が結ばれてしまうおそれがあります。
これを防止するために、原則禁止としています。
【ちなみに】
禁止の例外として、以下の行為は許容されています。
@債務の履行(108条但書)
A本人の利益を害するおそれのない場合
B本人の承諾がある場合
@については、債務の本旨に従った履行に限ります。許容されない例としては、代物弁済が挙げられます。これは、実際の債務と代物の価値にズレがある場合、一方が得をして他方が損をしてしまい、不平等になってしまうからです。
Aについての具体例としては、契約が成立したあとの登記申請が挙げられます。これは、代理人はすでに決まっていることを申請するだけなので、本人を害するおそれはありません。
Bについては、本人が良いと言っているのであれば、あえて禁止とする必要はないということです。 |
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【問題提起】
任意代理、法定代理共通の代理権消滅事項として、本人の死亡、代理人の死亡・破産・後見開始の審判がありますが(111条1項)、任意代理の場合は、本人の破産も代理権消滅事項になっています(653条)。
なぜ、このような違いがあるのでしょうか?
【なぜか?】
任意代理が本人の破産を代理権消滅事項としている理由は、代理人の利益を保護するためです。
通常、任意代理人は本人から報酬をもらって代理するという契約を結んでいるため、本人が破産してしまうと報酬がもらえなくなってしまいます。
それでは代理人が酷な状況になるので、この場合は代理権が消滅します。
それに対し、法定代理が本人の破産を代理権消滅事項となっていない理由は、代理人に保護する利益がないことと、本人を保護するためです。
法定代理人は法律の規定によって代理人となっているので、報酬をもらう契約などはしていません。
そのため、法定代理人には保護する利益はありません。
また、本人の能力に障害のあることが通常ですので、代理権が消滅してしまったら、その本人の面倒を見る人がいなくなってしまいます。
そのような観点から、法定代理では本人の破産は代理権消滅事項となっていません。
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【問題提起】
表見代理には、@代理権授与表示の表見代理 A権限踰越の表見代理 B代理権消滅後の表見代理 の3つの類型がありますが、@代理権授与表示の表見代理
のみ、法定代理への適用はありません。
なぜでしょうか?
【なぜか?】
法定代理は法律の規定によって代理権が発生するものなので、代理権授与表示によって代理権が発生することはありません。
そのため、この類型の表見代理は任意代理にのみ適用され、法定代理には適用されません。 |
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【問題提起】
無権代理人の相手方が、その無権代理行為について本人に催告をしても確答がない場合、追認を拒絶したとみなします(114条)。
なぜ、追認拒絶とみなすのでしょうか?
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【なぜか?】
無権代理をされた本人を保護するためです。
本人は無権代理行為の事実を知る状況ではないので、相手方に催告されても何のことだか把握できません。その把握できないことに対応しなかったからといって追認になってしまっては、本人にとって酷です。また、無権代理人の勝手な行為に関する催告に答える義務もありません。
そのため、追認拒絶とみなします。 |
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【問題提起】
無権代理人が本人を相続した場合は無権代理行為は当然に有効となりますが、逆に本人が無権代理人を相続した場合は当然に有効とはならず、本人は追認拒絶ができます。
なぜ、そのよう違いがあるのでしょうか?
【なぜか?】
無権代理人が本人を相続した場合に無権代理の効果が有効にならないとなると、信義誠実の原則に反します。
例えば無権代理人が本人所有の土地を売ってしまった場合、その後の本人の死亡によって「相続で土地が自分のものになったから代理行為は取消す」というのは道理が通りませんし、相手方を害することにもなります。そのため、この場合は無権代理行為は当然に有効となります。
逆に本人が無権代理人を相続した場合、無権代理人が勝手に行ったことを当然に有効とされてしまっては、本人が無権代理の責任を当然に取ることとなるため、酷な状況になります。
そのため、この場合本人は追認拒絶ができます。ただし、本人は無権代理人の責任も相続することになるので、相手方に責任追及されるおそれは残ります。 |
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【問題提起】
無権代理人を相続した本人による無権代理行為の追認は、原則として積極的な意思表示のみによることとし、法定追認は類推されません。
なぜでしょうか?
【なぜか?】
無権代理をされた本人を保護するためです。
無権代理は原則として本人には効果帰属しません。その帰属しないものを帰属させるのであれば、原則として本人の積極的な追認の意思表示のみによることとし、法定追認は類推しない方が本人の保護になります。
なお、黙示の追認も本人に効果帰属することになりますが、これは125条の法定追認とは別の話です。 |
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