【問題提起】
国家賠償法2条に定める河川管理の瑕疵について判例は、未改修河川の溢水水害の場合には瑕疵はないとしましたが、改修済河川の破堤水害の場合には瑕疵はあるとしました。
なぜ、そのように判例が分かれたのでしょうか?
【なぜか?】
河川は自然公物であり、また距離も長いため、時間と費用が莫大にかかります。
そのため、未改修河川は過渡的な安全性で足ります。
しかし、改修済みなのであれば災害を防止できないと意味がないので、高い安全性が要求されます。
河川管理の瑕疵の有無について、未改修河川の判例では、「自然的条件、社会的条件、その他諸般の事情を総合的に考慮し、その制約のもとで同種・同規模の河川の管理の一般水準及び社会通念に照らして是認しうる安全性を備えているかどうかを基準として判断すべきである」としています。
それに対し改修済河川の判例では、「工事実施基本計画に定める規模の災害発生を防止するに足りる安全性を備えているかどうかによって判断すべきである」としています。 |